なぜ1
x
を積分するとlog|x|と対数に絶対値がつくのか?
#微分積分 #対数 注意 : ワンポイント数学では数学的に厳密な議論ではなく、教科書の行間を埋めるときや、自分で定理や公式を思い出すときのきっかけになるような直感的な理解を補助することを目的としています。 (復習) logxx > 0 で定義される関数でグラフは以下のような形である。(参考: 対数関数 logxの記号の意味) 1
x
のグラフは以下のような形をしている。
[1] x > 0 の範囲でまずは考えてみる。 dlogx
dx
= 1
x
より (参考: なぜ対数関数 logx の微分は 1
x
になるのか)
1
x
の不定積分 1
x
dx = logx
となる。x > 0 の範囲で考えているので、 log|x| = logx となるので、絶対値記号はx > 0 の範囲で積分する場合は問題にならない。 [2] x < 0 の範囲でまずは考えてみる。ただし、今回は 1
x
dx
のように、x = 0 をまたがない範囲で考える。(考えても良いが、積分区間を x = 0 の部分で分けるだけになるため)
(参考: (広義積分の例題) 1
x
の x = 0での積分
)
幾何学的なイメージで考えてみると1
x
dx
は赤の符号付き面積である。
これは1
x
のグラフの対称性から明らかに、1
x
dx
と大きさは同じで、符号が反転している値となりそうである。
この幾何学的な考察の結果から1
x
dx = - 1
x
dx
だと考えると
1
x
dx = - 1
x
dx
= - ( log5 -log2) = log2 -log5 = log|-2| -log|-5|
という形になっており、1
x
dx = log|x|
とした場合と一致している。この式を利用して積分しても同様に以下の形が導かれる。
1
x
dx = log|-2| - log|-5|
また x > 0 のときも1
x
dx = log|x|
としても結果には影響しないので、結局、1
x
dx = log|x|
として計算すれば良いことになる。