日本は美しく素晴らしい国であると私は思います。しかし、21世紀の日本はこれから未曾有の混乱状態へと向かっていく可能性が高いです。そして、残念なことに政治家・官僚・教師・有識者・評論家・学者・・・その他の大人たちも頼りにはなりません。自分の頭で考え、何を持って良しとするのか、どうすれば良い方向へ物事を動かしていけるのか?この理想と現実の両方のバランスを自分の中で調和し、体現できる人間的魅力と実力を兼ね備えた大人は、日本からどんどんいなくなっています。
問題はそれだけではなく、現在がグローバルに世界と繋がっていることです。特にインターネット誕生以降、世界との実質的な距離はどんどん縮んでおり、国単位から個人の単位で私たちは世界との競争の中に立たされています。弱肉強食とも言える世界のルールの中で国としても個人としても私たちは強くならなければ、文字通り喰われてしまうでしょう。
(この文章は私の子供たちの世代に向けて書いています(私同様彼らの保護者世代の人、そして日本のこれからを憂う方達へ向けて)。)
皆さんがこれからの世界を生きていくために、私は大きく2つの力が人生の土台として必要だと考えています。
①自分の頭で考え、他人の干渉に負けず、強い意思のもと、理性的な判断によって「自分の考え」を構築する力
※「自分の考え」とは無思慮で独善的なものではなく、他人や環境に惑わされないしっかりとした考えという意味
②様々な(人生の)問題を解決するための基礎的な「数学力」
※ここでいう「数学力」というのは単に計算ができる、既存の数学分野に詳しいといった意味ではなく、読解力、論理的思考力、イメージ力、抽象化力、位置付け能力といった数学によって鍛えられる種々の総合的な能力を指す
①②は相互に関係しており、これらを身につけるには「大量の暗記」による学習ではなく、「有機的に結合された知識の体系」を自分の中に構築する学習が必要となります。この学習はいわば「自分の中に世界を創る」という作業になります。それは具体的には以下のようなステップで行われます。
- 新しい言葉(概念・理論)の意味を知る
- 過去に学んだ言葉との関係性を考えて、自分の中で位置付けをする
大まかにはこのようなステップを踏んで、自分の中に「有機的に結合された知識の体系」を作っていきます。このようにして得られた知識は汎用性が高く、いつでも引き出せて様々な応用に耐えます。
そして、この「有機的に結合された知識の体系」というのは広い意味では「数学」あるいはそこに国語を加えた「数学と国語」と同義とも言えると私は思っています。
※この意味するところについてはSci-Techでの学びを通じて徐々に明らかになっていくかと思います。
数学をじっくりと学び、自分の中に世界を構築するには、相応の時間と忍耐が必要です。そのため、大人になって仕事や日々の生活に追われるようになってしまってからでは時間や金銭的な面、またそれ以外にも体力や記憶力など様々な点で大変です。ですから、小学生 ~ 高校生、大学生といった時期までに各年齢に応じて相応の訓練を積むことが重要です。
しかし、数学の学習は大変なだけでなく、内容が非常に豊かで、数学の内容自体も面白いですし、応用という面でも非常に有用ですので、繰り返しになりますが、これをしっかりと学ぶ機会を子供の間に確保することは本当に重要なことです。
Sci-Techは日本ひいては全ての子供が基礎的な数学力を身につけられる「環境」を提供するための組織として活動をしていきたいと思います。
その結果、1人でも多くの子供達が自分で考え、そして問題を解決し、日本や世界を豊かにしていく大きな力になっていってくれると信じています。
令和5年10月2日 Sci-Tech 中嶋 太一