Processingでは、オブジェクト指向プログラミング(OOP)の原則に基づいて、オブジェクトを使用することができます。オブジェクトは、データとそのデータに対する操作を一つにまとめたものです。
目次
クラスの定義
オブジェクトは、クラスという設計図に基づいて作成されます。クラスは、オブジェクトの属性(変数)とメソッド(関数)を定義します。
class Circle {
float x, y; // 属性: 円の中心の座標
float radius; // 属性: 円の半径
// コンストラクタ: オブジェクトが作成されるときに呼び出される関数
Circle(float x, float y, float radius) {
this.x = x;
this.y = y;
this.radius = radius;
}
// メソッド: 円を描画する
void display() {
ellipse(x, y, radius*2, radius*2);
}
}
オブジェクトの作成と使用
クラスを定義した後、そのクラスのインスタンス(オブジェクト)を作成し、メソッドを呼び出すことができます。
void setup() {
size(200, 200);
Circle circle = new Circle(100, 100, 50); // Circleクラスのオブジェクトを作成
circle.display(); // オブジェクトのメソッドを呼び出し、円を描画
}
オブジェクトの利点
- カプセル化: オブジェクトは、関連するデータと操作を一つにまとめます。これにより、コードの構造が明確になり、管理が容易になります。
- 再利用性: 一度クラスを定義すれば、同じクラスのオブジェクトを何度も作成することができます。
- 拡張性: 既存のクラスに新しい属性やメソッドを追加しやすく、変更が容易です。
オブジェクトと配列の組み合わせ
オブジェクトと配列を組み合わせることで、複数のオブジェクトを効率的に管理できます。
void setup() {
size(200, 200);
Circle[] circles = new Circle[5]; // 5つのCircleオブジェクトを格納する配列
for (int i = 0; i < circles.length; i++) {
circles[i] = new Circle(40*i + 20, 100, 20); // Circleオブジェクトを作成し、配列に追加
circles[i].display(); // 各オブジェクトのdisplayメソッドを呼び出し
}
}
このコードは、5つの異なる位置に円を描画します。
オブジェクト指向プログラミングの原則を理解し、Processingでオブジェクトを活用することで、より構造化され、管理しやすいコードを書くことができます。
課題
課題1: 単純なオブジェクトの作成
Car
クラスを作成し、車の位置を属性として持たせ、その位置に車を描画するメソッドを持たせてください。
課題2: オブジェクトの移動
- 前述の
Car
クラスに、車を右に移動させるメソッドを追加してください。
課題3: オブジェクトの配列
Circle
クラスを作成し、そのオブジェクトの配列を作成、各オブジェクトを異なる位置に描画してください。
課題4: オブジェクトの属性変更
Rectangle
クラスを作成し、長方形の色を変更するメソッドを実装してください。
課題5: マウスクリックとオブジェクト
- マウスがクリックされた位置に
Star
クラスのオブジェクトを描画してください。
課題6: オブジェクトの拡大縮小
Triangle
クラスを作成し、三角形のオブジェクトのサイズを変更するメソッドを追加してください。
課題7: オブジェクト間の交互作用
Ball
クラスの2つのオブジェクトが画面内で跳ね返るようにしてください。
課題8: クリックによる属性変更
Square
クラスを作成し、そのオブジェクトがクリックされたら色が変わるようにしてください。
課題9: オブジェクトの回転
Polygon
クラスを作成し、そのオブジェクトが一定の速度で回転するようにしてください。
課題10: オブジェクトのクローン
Animal
クラスを作成し、既存のオブジェクトを元に新しいオブジェクトを作成するメソッドを実装してください。