目次
これは何?
「社内で新規の事業を任された」、あるいは「自分でプロダクトを作りたい!」といったこれからスタートアップを作る人向けに必要な知識とワークフローをまとめました。教科書には「起業の科学」田所雅之を選びました。
スタートアップのプロジェクト全体像
ここでは最初にスタートアップを始める上での全体のフローをまとめています。まずは外観を眺めてこれから何をしなければいけないのか把握するところからスタートします。

非常にボリューミーになっているので、さらにざっくりと5段階にまとめてみました。

- アイデアだし:まずは自分や自社は何がしたいのか?どんなビジョンがあるのかを考えてみる。
- 課題の深堀り:顧客の本当に困っている課題は何か深堀する。またその課題は創業メンバーの興味や価値観と一致しているのか考える。
- ソリューション構想:課題を解決するソリューションについて磨き上げる。
- PMF:MVPを作成して実際に市場でスプリントを回しながらPMFの達成を目指す。
- スケール体制:Unit Economicsを考えてスケール可能な体制を整える。
IDEA VERIFICATION : アイデアの検証
まず最初の段階はアイデアを出すところからスタートします。この段階で重要なことは分析的に考えることよりも自分事化できる課題や本当にペインになっている課題を発見することです。
課題の発見シートにアイデアをブレストし、リーンキャンバスでPlan Aを作ります。
IDEA VERIFICATION 課題の発見シート
https://docs.google.com/spreadsheets/d/1DN4JqAE5sP-gncNPNJmrX4QB7qWjjPmlhEciKetPH6o/edit#gid=0
この段階では「顧客×課題×ソリューション」の仮説を繰り返し顧客にぶつけて300回程度の仮説の練り直しを行います。その間、顧客以外の人の意見を聞く必要はありません。(顧客以外の人へ説明したり、いちいち納得を撮ろうとすると時間がかかりすぎて仮説検証を十分回せない、またこの段階で評論家の立場の意見を聞いていたら先に進めないため)
※現場と本場に行け
現場×本場:顧客のいるところが現場、その領域で新しいソリューションやイノベーションを起こそうとしているエリアや会社が本場。
IDEA VERIFICATION リーンキャンバス
CUSTOMER PROBLEM FIT 課題の質をあげる
リーンキャンバスを埋めてPlan Aが一旦できたら、次は課題の質をさらに高めていきます。PMFを達成できるかどうかは「課題の質」×「ソリューションの質」で決まりますが、課題の質については最初の段階で高めておかないと後から修正が効きづらいです。
必要なワーク
- 想定カスタマーのペルソナ作成
- 想定カスタマーのエンパシーマップ
- カスタマージャーニーマップ
- ジャベリンボード
想定カスタマーのペルソナ作成
リーンキャンバスで想定したカスタマーについてさらに詳細なデモグラ・サイコグラフィックを想定します。
【ペルソナ作成の目的】
- プロダクト・サービス開発を顧客中心に考えるため
- 全ての人ではなく、特定の人に刺さるプロダクトやサービスにするため
- チーム内で顧客イメージを共有するため
CUSTOMER PROBLEM FIT ペルソナ作成
想定カスタマーのエンパシーマップ
ペルソナをさらに深堀りするために、特定の場所、時間、イベントなどの条件を絞り込んだ上で、その時にカスタマーが感じていることや、見ているものを洗い出します。
【エンパシーマップ作成の目的】
- より具体的な場面におけるカスタマーの心情を理解することができる
- カスタマージャーニーマップ作成の準備
CUSTOMER PROBLEM FIT エンパシーマップ作成
カスタマージャーニーマップ
ペルソナのイメージが固まってきたら、具体的なカスタマーの行動の流れ、接点、感情の変化などをカスタマージャーニーマップを使って書き出してみます。
【カスタマージャーニーマップ作成の目的】
- プロダクト・サービスがカスタマーに認知され、使われて、定着するまでの一連のフローを概観することができる
- フローの中でのカスタマーの行動・接点・感情が整理され、現状のボトルネックが浮き彫りになる
- フローの中でこれまで見落としていた課題に気づくことができる
- プロダクト・サービスが提供する価値についてメンバー間で共通言語ができる
【カスタマージャーニーマップ作成の手順】
- ステージをかく
- 顧客行動をかく
- 顧客接点をかく
- 感情変化をかく
- 対応策をかく
CUSTOMER_PROBLEM_FIT_カスタマージャーニーマップ作成
tmp_カスタマージャーニー.ppt
https://drive.google.com/file/d/1ych_KGsi1KM4nDA8nUF7oGOS9CF3P2w5/view?usp=sharing
ジャベリンボード
ペルソナ~カスタマージャーニーマップの一連の作業によって明らかになってきたカスタマーとその課題を改めてまとめ、課題やソリューションの仮説の前提条件になっているものが何かを洗い出す。
ジャベリンボードの作成
PROBLEM SOLUTION FIT ソリューションの検証
ここでは、順にMVPの6レベルを使って検証していく。とにかくスピードを優先して顧客に当てて、改善する回数を稼ぐことが重要。
- Paper (30 sec.) : コンセプトを表した30文字の言葉、画面を手書きで紙に書いたもの、ただの企画書など。想定カスタマーに見せるだけで検証できる。
- Analog (3 hours) : 想定顧客を人力で集めて、課題に対して全て手作りでUXを実現して答えてみることで最小限のUXを実現する。(プロダクトは作らない)
- Combination (12 hours) : GAS, SNSなどを使ってサービスの組み合わせで実質プロダクトに近いものを構築する。サービス間の間に人力が入ってもOK。
- Only Visual (1日) : 初めてオリジナルにビジュアルを作ってみる。Webならトップだけなど。動かなくてもいいので、イメージが伝わるもの。
- Prototype (3日) : xd, wordpressなで動的なもので最小限のものを作ってみる。
- Minimum Viable Product (数日) : 5まで検証ができたら必要となる機能を開発してみる。ここでもなるべく作らないこと(時間優先)を心がける。
PRODUCT MARKET FIT 人が欲しがるものを作る
MVPがステージ6まできたら、身内以外でお金を出してプロダクトを利用してくれる最初の人「Primary Customer」を見つけます。Primary Customerやその後の2nd Customers獲得にはマーケティング費用のCPAはまだど返ししても良いです。ただし、身内ではなくLPや媒体資料を見てお金を払って購入してくれる完全な新規顧客であることが大事です。
Primary Customerを探す過程でPMFを目指して3つを改善します。
- Channel : 顧客出会うための手法(展示場、PR、セミナー、イベント、Web、etc.)
- Communication : トークスクリプト 、セールストークなど
- Customer Success : 顧客がプロダクトをうまく使うために必要なサポートは何か?足りない機能や使いづらいUI、UXの改善点はないか?
スプリントカンバンボードでUXの管理をするなどしながら、AAARRの指標が目標値に達するまで改善を行います。
AAARRの指標
- Acquisition : 訪問者数(LP来訪者数など)
- Activation : 登録者数(有料会員数など)
- Activation 2 : 作業完了数(動画サイトで動画をみるなど)
- Retention : 3日以内来訪者(利用頻度はプロダクトによって変わる)
- Revenue : 顧客ひとりあたりの1日の収益(単位はよしなに変更)
※ これらの指標のうちActivation & Retentionが目標値を超えた時点でPMFできたと言える(目標値は市場に対して自分たちが取るべきシェアなどから逆算)
TRANSITION TO SCALE スケールするための変革
AAARRのうち残りのAcquisitionとRevenue ~ CPA(顧客獲得コスト)とLTV(顧客一人当たり生涯利益)についてLTV > CPAを達成することが次の目標になります。
まずはLTV, CPAについて計測し、健全な体制であるLTV>CPAまでのロードマップを考えます。(LTV > CPAである限りマーケット予算をつぎ込んでも利益が出続ける計算になり、事業をスケールできます)
まずはLTVから
LTV, CPAで考えるときにまずはLTVの優先度が高いです。CPAの改善はLTVを改善していく中でプロダクトの魅力が高まり改善することも多く、LTV改善によってCPAの許容値も大きくすることができるからです。
LTVの改善の最も重要なKPIはチャーンであり、カスタマーサクセスをいかに生み出せているかが勝負となります。
カスタマーサクセスの管理についてはTHE MODELの解説記事でも書いています。
スタートアップの卒業
PMFを達成し、LTV > CPAも達成し、スケールに成功したら社内起業であれば本業レベル、ベンチャーであってもBETA期を迎えます。ここからは既存事業との提携、さらなる事業投資など含めて成長を目指します。
以上となります。