目次
Point – 経営者・クライアントの視点を手に入れる –
この「ビジネススキル」シリーズでは多くの人にとって役にたつ基本のビジネススキルについて解説をしていきたいと思います。#20は「時は金なり、となる構造の理解」と言うテーマについてです。
この記事では「経営者やクライアントから見たときに働く人の時間=お金に見えている」と言うことについて解説していきたいと思います。この記事を読むことで、自分の立場だけでなく、経営者・クライアントなどお金を支払う側の論理に立って物事を見る視点を養うことができるようになればいいなと思います。
Reason – 自分が何に対して報酬をもらっているのかを意識することは大事 –
経営者・クライアントは何にお金を払っているか
まず、経営者・クライアントの視点に立ってものを見るには、彼らが自分の何に対してお金を払っているのかをきちんと把握する必要があります。基本的には仕事は何か商品やサービスなどのアウトプットを期待されているのですが、多くのサラリーマンは自分の商品・サービスを持っていません。経営者・クライアントは大きく分けて2種類の報酬体系を使い分けています。
自分の商品・サービスを持っていない人への報酬体系
非常に極論ですが、自分の商品やサービスを持っていない人の働き方は「月給・時給」といった一定時間の労働時間を提供する報酬という形をとります。いかに自分に専門的なスキルがあったとしてもそれをアウトプットベースの商品やサービスの形で販売していない以上、その商品やサービスは存在していないと考えるべきです。
自分の商品・サービスを持っている人への報酬体系
逆に自分の商品やサービスを持っている人の報酬体系はアウトプットベースになります。例えば「1記事書くのに2,000円」というライター。「手数料15%で広告運用する」Webマーケター。「見積もりを出して開発をする」エンジニアなど自分の時給・月給ではなく、アウトプットベースで価格設定ができている人が商品・サービスを持っていると言えます。
商品・サービスではなく、時間売りをする人の時間は「イコールお金」である
※この記事は非常に極論ではありますが、構造の話をしています。構造的にそういう風に物事を見るインセンティブがあるという話です。
もし、自分が商品・サービスでない自分の労働時間を売るような契約を経営者・クライアントとしているのであれば、自分の時間は文字通りお金とイコールになります。
この場合、商品やサービスには責任は持っていないので、最終的なアウトプットの責任は薄くなる代わりに、経営者・クライアントからは別のプレッシャーがかかります。それは「時間あたりの生産性が本当にこの人はあるのか?」ということです。
この生産性というのは単純に売上に貢献するものだけでなく、チームの雰囲気やバックオフィスのサポートなど様々な要素を含めて総合的に判断されるべきものですが、どちらにせよ経営者・クライアントからは「時間・生産性をマネジメントしたい」という圧力(インセンティブ)がかかります。
つまり、サボっている人や効率の悪い仕事の仕方をする人は許せない、という感情への圧力です。
自分の時間をコントロールしたいなら商品・サービスを持ち、アウトプットにコミットするしかない
ここまでの話をまとめると、時間を切り売りする契約をしている限り、経営者・クライアントの論理で考えると「時間・生産性のマネジメントをしたい」という圧力がかかります。
もし、それが嫌であるなら自分で商品・サービスを作り、アウトプットに対しての価格決めをする必要あります。そしてそのアウトプットを買ってもらう必要があります。(このアウトプットが売れるかどうかは、自分がどれだけ期待値以上のアウトプットを提供できるのかを相手に理解してもらう必要があります。アウトプットにコミットできない人は、この世界に入ることはできません。)
Example – 経営者・クライアント視点になると見えてくるコスト –
具体的にアウトプットにコミットできていない人にかかる圧力について解説していきたいと思います。経営者・クライアントからコミット力が弱いと思われている人は多くの場合、会社やクライアントとのMTGで以下のような圧力を受けます。
時間=お金
業務時間中の休憩・サボりはコストである
経営者・クライアントは時間で自分を採用しているので、自分が多く休憩をとったり、業務時間中に仕事以外のことをしているとなると、その分の時間=お金が捨てられている感覚になります。
非効率な仕事の仕方はコストである
同じ時間で他の人の0.5人分しか仕事ができない人の時給は0.5人分にしたくなる感覚になります。また、業務改善を自分でできない人は燃費がだんだん悪くなる車や電気代の高い家電のような印象をもたれます。
他人の時間を奪うのもコスト
社内の他のメンバーの時間を奪う人はコストに見られます。例えば自分で検索して解決できることを逐一質問するなどする人は、他の人の時間を奪う分だけ無駄なコストを発生させています。また質問をするのは、大抵その人よりもスキルの高い人になるので、感覚としてはその人の時間単価は実質の2倍以上になっていると感じます。
また社内のフォーマットを無視して経理を入力するなども他人の時間を奪うコストの代表例です。フォーマットを無視することで1時間 ~ 2時間ぐらいの時間はすぐに飛んでしまいます。
Re-Point – まとめ –
最後にこの記事のまとめをしておきたいと思います。
まとめ① 商品・サービスを持たない限り時間=金である
自分がアウトプットに対して対価をもらう契約をしているのであれば、期限内にクオリティのしっかりしたアウトプットを出せば問題がありません。しかし、アウトプットベースでない時間売りの契約をしているのであれば、時間=お金という構造ができてしまうので、時間あたりの生産性をコントロールしたいインセンティブが経営者とクライアントに発生します。
まとめ②目に見えないコストに敏感でない人は評価されない
経営者・クライアントの視点で見ると、実際にその人に払っているお金だけでなく、その周辺で発生しているコストにも意識があります。他の人の時間を奪ったり、市場の他の人材と相対比較した際に生産性の低い人の報酬をあげようというインセンティブは経営者・クライアントには働きません。
逆に「時間=お金」という契約であったとしても仕事を部分的に任せられたり、社内のコミュニケーションを円滑にしてくれたりする人は経営者やクライアントにとってはなくてはならない存在であり、目に見える売上への貢献以上の報酬を与えるインセンティブが発生します。
最後に
この記事では、非常に「ドライ」な構造について記載しました。実際の現場ではもっと温かい人間関係もあるとは思うのですが、完全に合理性だけを見た時にここまで解説したようなインセンティブがあることを理解した上で、自分がどう働くのかを考えるきっかけになればと思います。