目次
Point – ビジネスの評価は「期待値 vs アウトプット」で決まる –
この「ビジネススキル」シリーズでは多くの人にとって役にたつ基本のビジネススキルについて解説をしていきたいと思います。#6は「期待値を超える」です。
期待値を超えるとは、上司やクライアントなど自分に仕事の依頼をしてくれた人に対して、彼らが想定している「これぐらいは、この期間内でやってほしい。」と思っている基準を超えるアウトプットを出すことを意味します。
仕事で評価を得るための唯一の方法がこの「期待値を超える」ことであり、これができない限り、仕事で評価を得ることはできません。次にその理由を解説していきます。
ビジネスでは「期待値を超える」かどうかで評価は全て決まる。期待値を超えていない仕事は、評価されない。
Reason – 期待値を超えない仕事は絶対に評価されない理由 –
なぜ仕事で評価されるのに「期待値を超える」ことが最も大切なのかは、ジョブ理論を元に考えてみるとよくわかります。
ジョブ理論では「顧客(この場合は上司やクライアント)はなぜ商品やサービスを購入するのか?」あるいは「あなたに仕事を頼むのか」を考えます。
顧客は何か商品やサービスを購入するときに必ず「何か」を期待してそれを購入します。例えば、ブログを運営している人が、ブログ記事執筆を誰かにお願いするときは、依頼先のライターに「記事のクオリティ、入稿までの早さ、そして依頼相談時の心地よいコミュニケーション」などを求めているかと思います。
仮に依頼されたライターが良いクオリティの記事を入稿したとしても、コミュニケーションが心地よくない(1回で依頼の内容が伝わらないなど)場合、依頼者のブロガーは不満を抱くかもしれません。
このように顧客は何か商品・サービスを購入するときは、それによって「何か」を期待しています。この期待に100 %以上の答えを出せない限り、その顧客が満足することはありませんし、次回以降の仕事をもらえる可能性は低くなります。
顧客は仕事を依頼するときに必ず「何か」を期待している。その期待に答えられない限り、顧客が満足することはありえない。
Example – 期待を超えるための方法論
ここからは、「どうすれば顧客の期待値を超えられるのか」について解説をしていきたいと思います。私は「期待値を超える」ことができるかどうかの最も大きな難所は、「その期待値を把握すること」にかなり比重があると思っています。
この章では期待値を超えるためのステップを3つに分けて解説します。
- 期待値を把握する
- 期待値を調整する
- 期待値以上のアウトプットをする
期待値を把握する
期待値を把握するために、まず期待値を構成する要素を確認します。期待値というとき、顧客は「期待値」という言葉の中にどんな意味を持たせているのかを知ることが第一歩となります。次に、その各要素についてどうすれば顧客から情報を引き出したり、共通認識を形成できるのかについて解説をしていきます。
期待値を構成する要素
期待値を構成する主な要素は4つあります。この4つの要素について全て把握することが期待値を把握することになります。
- その仕事の背景と目的
- アウトプットのイメージ
- クオリティ(スピード✖︎質)
- 優先順位✖︎緊急度
「その仕事の背景と目的」とは
順に説明していきます。まず「その仕事の背景と目的」は、今回の仕事が発生した経緯とその目的は何か?ということです。
例「上司から資料作成を頼まれたが、その資料作成の業務はどういう流れで生まれ、資料自体は何に利用するのか?」
「アウトプットのイメージ」とは
アウトプットのイメージは「その仕事の最終成果物は何になるのか?」ということについてです。
例「上司から市場調査を依頼されたが、結果の報告はPowerPointで資料作成するのか?チャットでテキストでベタ打ちでもいいのか?」
「クオリティ(スピード✖︎質)」とは
クオリティ(スピード✖︎質)は「期限と最低限満たしておかなければいけない基準は何か?」ということについてです。
例「市場調査の資料作成の場合、資料提出は何時までが期限か?また、資料に必要な項目は何か?」
「優先順位✖︎緊急度」とは
最後に優先順位✖︎緊急度は「別の仕事をバッティングしている時は、どの仕事を優先すべきか?また期限の延長は事前の交渉で可能なのか、絶対に守らなかればいけないタイプの仕事なのか?」といったことについてです。
例「別々の人から同時に広告の配信設定と資料作成を頼まれたが、今日の業務時間は残り1時間しかなく、どちらかを明日に回さなければいけない。この場合どちらを優先すべきか?」
以上が期待値を構成する要素になります。しかし、これらの情報が顧客である上司やクライアントから十分に説明されることはあまりないと思います。そのため、この情報の穴埋めを自分でできるかどうかが勝負になります。
期待値を把握する方法
前節で紹介した期待値を構成する4つの要素について、どのようにして情報の穴を埋めていくのか解説をしていきます。
「その仕事の背景と目的」を把握する
まず「その仕事の背景と目的」については、「単発の仕事だとしても必ず顧客や上司に確認を行う」ということが良いと思います。
例「今回作成する資料は、どういった場面で利用されるのでしょうか?」
「アウトプットのイメージ」を把握する
「アウトプットのイメージ」については、依頼する側も持っていない場合が多いので、自分なりの仮説をぶつけながらイメージを共有するのがポイントになります。
NGな例①【とりあえず承知する】
「上司:顧客管理ツールについてざっくり調べといて」
「部下:承知しました!」
※アウトプットの共通認識がないため、ズレが生じる
NGな例②【仕事を巻き取れない】
「上司:顧客管理ツールについてざっくり調べといて」
「部下:ざっくりがわからないので、具体的に指示してください。」
※自分で考えることができない作業しかできない、忙しい顧客からするとアウトプットの大枠の方向性を考えるところが最も大変なので、そこを仮説をたててぶつけてきてほしいのに、それをしない。
OKな例【仕事を巻き取れた上で共通認識を形成できる】
「上司:顧客管理ツールについてざっくり調べといて」
「部下:調査内容としては、費用感・機能比較表をエクセルでまとめてお渡しする形でよろしいでしょうか?」
※自分で事項をまとめてから確認すると、上司も追加、削除の判断だけで済む
「クオリティ(スピード✖︎質)」を把握する
仕事のクオリティについては「アウトプットの形式に加えて詳細項目と、いつまでを期限とするかを確認する」ようにしましょう。
例えば、資料作成であれば「最初の5分で目次を作成し、目次だけでもFIXしてから」作業を開始するなどしましょう。
「優先順位✖︎緊急度」を把握する
仕事をしていると、様々なトラブルや差し込みの仕事が入ってくることがあります。また他の仕事が伸びる可能性あります(社内ミーティングが伸びて作業ができないなど)。そういった場合にどう対応するか、「期待値を超えられないことが判明した場面」に対してどう対応すべきか決めておくことも重要です。
例「今日必ず対応が必要な案件があるが、社内ミーティングを上司に同時に設定されてしまった。そこで事情を説明し、ミーティングをリスケしてもらった。」
期待値を把握する際に、上司やクライアントに確認をすることができないということをたまに聞きます。「いいからまずやってみて」など言われるケースです。こういった場合の対処法としては、事前の確認という言い方ではなく、最初のアウトプットをとにかく早く作って見せてしまい、そのアウトプットに対してのフィードバックをもらうという体で期待値の把握をするのがいいのではないかと思います。
また、上司やクライアントとの関係値も期待値を超えることで徐々に改善していくことが大切だと思います。
期待値を調整する
期待値を把握することに成功したら、仕事を受けてしまう前に、その仕事の期待値を自分は超えられそうかどうかを考えます。もし、この段階で期待値を超えられないのなら、仮に仕事をしても評価を得ることは100%できません。このようなときは安請負をせず、きちんと事情を説明する、工夫をするなどして期待値を調整したり、期待値を超えられる状況を作ることが必要となります。
例「5万円でWebサイトの制作を依頼されたが、自社のエンジニアの人月コストを考えると受注することができないので、価格の交渉を行った。」
※もし、営業が安請負をすると、コミットできずに評価を落とすか、社内のエンジニアを疲弊させてしまう
期待値以上のアウトプットを出す
期待値の把握と調整が完了したら、求められているアウトプットに対してコミットしましょう。この段階まで来たら顧客が求めている「何か」は明らかなので、その部分に集中して取り組むことができます。
1. 期待値を把握する
2. 期待値を調整する
3. 期待値以上のアウトプットを出す
Re-Point – まとめ –
ここまでの話を最後にまとめます。
まず「ビジネスで評価を得る」最も大切なことは「期待値を超える」ことでした。その理由はジョブ理論で明らかなように顧客は仕事を依頼するときには、常に「何か」を期待しているからです。
その「何か」(期待値)を超えるには
- 期待値を把握し
- 期待値の調整を行い、
- 期待以上のアウトプットを出す
ことが大事でした。
- 【期待値を超える方法】
- 期待値を把握する
- 期待値を調整する
- 期待値以上のアウトプットを出す